日本漢文の世界

 

月ヶ瀬梅渓(月瀬記勝)








梅谿遊記八語釈

岡阜(かうふ)

おか。小高い台地。

陂陁(はだ)

土地が傾斜していて平らかでない様子。

俯見(ふけん)

俯瞰。高いところから見下ろす。

土人(どじん)

土地の人。

花蕊(くわずい)

花のつぼみをいう。また、花のおしべとめしべをいう。

凍瘁(とうすい)

寒さで凍ってしおれること。

上熟(じやうじゆく)

上等のよく熟した農作物。農作物を上孰(熟)・中孰(熟)・下孰(熟)に分けることは、『漢書食貨志』の例による。

乾梅(かんばい)

これは造語で、「烏梅(うばい)」のこと。烏梅とは、完熟した梅の実に鍋釜などについた煤をまぶして燻蒸し、2~3週間日干ししたものである。江戸時代、紅染の色素定着の媒介剤として使用された。京都の染物屋へ高値で売れたため、米作よりもよい収入になったという。

二百駄(にひやくだ)

「駄」は「馱」とも書き、馬の負債物の意。二百駄は、馬二百匹で運ぶ荷物の量。

壹斛(いつこく)伍斗(ごと)

一駄を梅に換算すると、一斛五斗。「斛」は十斗、一斗は約18リットルにあたるので、一斛五斗は270リットルほどである。

貳陌斤(にひやくきん)

一斤が約600グラムなので、二百斤は120キログラムほどである。

中熟(ちうじゆく)

中等の農作物。

(ぎん)玖什錢(きうじふせん)

「錢」は銀貨の単位で「匁(もんめ)」に当たる。1匁は3.75グラム。銀1グラムを70円で換算すると、90匁は2万4千円。100匁は2万6千円である。

墝埆(かうかく)

「磽埆」に同じ。石の多いやせ地。

(こく)()

年貢米の代わりにする。

採乾(さいかん)

摘み取って乾燥させる。

染肆(せんし)

染物屋。

經濟(けいざい)

金のやりくり。

三原(みはら)

広島県三原市。現在も「満汐梅林(まんちょうばいりん)」がある。

平遠(へいゑん)

土地が平らで遠くまで続いていること。

()(かん)

ここ。この場所。

頡頏(けつかう)

大差がないこと。

花光(くわくわう)

花の輝き。

煥發(くわんぱつ)

輝きが四方へ広がること。

芳霧(はうむ)

花の香を帯びた霧。


2019年5月2日公開。

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