日本漢文の世界

 

月ヶ瀬梅渓(月瀬記勝)








梅谿遊記六語釈

桃野(ももがの)

現在は「桃香野」と表記する。月ヶ瀬の西の端である。

突兀(とつこつ)

険しくそびえる様子。

虯龍(きうりよう)

「虯」は「虬」に同じ。虯(みずち)と竜。虯とは角のある小型の竜。

虎豹(こへう)

トラとヒョウ。猛獣をいう。

譎詭(けつき)

いろいろと変化すること。

夭矯(えうけう)

木の枝がくねくねと曲がっている様子。

(くわん)

冠をつけること。

烏帽子巖(えぼしいは)

不詳。古い案内図絵には「烏帽子岩」が記載されているものもあると聞くが未見。

碨礧(わいらい)

高低差があり、でこぼこしている様子。ここでは、でこぼこしている箇所という意味で使用されている。

澄徹(ちようてつ)

「澄澈」とも。清くすみわたること。

花片(くわへん)

はなびら。

(すす)

魚や鳥が餌を争ってついばみ食らうこと。

陡絶(とうぜつ)

そびえ立っている。

黃茅(くわうばう)

かや。「黃茅の數家」とは、茅葺の家が数軒ということ。

縹渺(へうべう)

はるかに遠い様。

現出(げんしゆつ)

あらわれ出てくる。

瑤宮(えうきう)璚闕(けいけつ)

「璚」は「瓊」に同じ。「瑤」「璚」は宝石のこと。「宮闕」は宮殿のこと。玉のような御殿。

(のぞ)

遠くから眺めること。

(そく)

すぐそばに近寄ること。

躑躅(さつき)

さつきつつじ。

猩血色(しやうけつしよく)

「猩血」「猩色」とも。「猩々」(しょうじょう)の血の色ということで、真紅色のこと。なお、「猩々」は、もともとは想像上の人に似た顔の獣であったが、近代には「オランウータン」の訳語にもなっている。

奇絶(きぜつ)

きわめて珍しいこと。

躑躅川(さつきがは)

現在は「五月川」と表記する。名張川の奈良県内の部分の呼び名。

嗚嘑(ああ)

「嘑」は「呼」に同じ。詠嘆の辞。


2019年5月2日公開。

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