日本漢文の世界

 

月ヶ瀬梅渓(月瀬記勝)








梅谿遊記五語釈

近午(きんご)

正午近く。

(もと)

附近

(わたし)

川を渡るところ。

篙夫(かうふ)

渡し舟の船頭。渡し守。

(さおさ)

「撑」は音「タウ(chēng)」。さおで舟をうごかす(さおさす)という意。

崎嶇(きく)

道などが高低差があり、険しい様子。

齗齶(ぎんがく)

「齦齶(ぎんがく)」に同じ。岩石などが、でこぼこしている様子。

敞谷(ほうらだに)

現在の「帆浦谷」。現在でも梅の木が多い場所である。
尾山八谷として、1敞谷(ほうらだに)、2鹿飛(しかとび)、3搜窪(さがしくぼ)、4祝谷(いわいだに)、5菖蒲谷(しょうぶたに)、6杉谷(すぎたに)、7一目千本(ひとめせんぼん)、8大谷(おおたに)の8つが挙げられているが、このうち現在でも観光マップ等にその名が残っているのは、1敞谷(帆浦谷)と7一目千本だけのようだ。なお、3搜窪(さがしくぼ)は天神森(天神梅林)の崖下とのことである。

天狗巖(てんぐいは)

搜窪(天神梅林の崖下)の上にあるということだが不詳。嘉永・安政の地震で一部もしくは全部が崩壊したのではないかと推測される。

羽客(うかく)

仙人のことをいうが、ここでは日本の天狗のことであろう。

棲止(せいし)

居留すること。

(じやう)

ありさまを述べること。

杳然(えうぜん)

はるかに遠い様子。

仙路(せんろ)

仙人になるための道。

僊源(せんぐゑん)

「僊」は「仙」と同じ。したがって後出の「仙源」も同じ。神仙の居住している場所。仙境。

仙趣(せんしゆ)

仙境の趣き。

彭澤(はうたく)

江西省北部にある鄱陽湖。この場所で、晋の陶潛(とうせん=陶淵明)が県令を務めていたことから、「彭澤」というと陶潛を指す。『彭澤の記』とは、陶潛の『桃花源記』のこと。

首肯(しゆこう)

うなずくこと。


2019年5月2日公開。

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