日本漢文の世界

 

月ヶ瀬梅渓(月瀬記勝)







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 花月(くわげつ)(しやう)(すで)(をは)り、(かへ)りて宿(やど)()く。(よる)(すで)三更(さんかう)()ぐ。(つか)るること(はなはだ)し。一睡(いつすい)して(あかつき)(いた)る。()むれば(すなは)奇寒(きかん)(ほね)()む。紙牕(しさう)(はなはだ)(しろ)し。()ちて()()せば、(ゆき)平地(へいち)(つも)ること三四寸(さんしすん)なるを()る。()なりと連呼(れんこ)して(また)(さけ)()び、滿引(まんいん)して(おほい)(のみほ)す。同人(どうじん)()で、(また)真福(しんぷく)(おもむ)き、昨夜(さくや)(つき)(もてあそ)びし(ところ)(いた)る。溪山(けいざん)(こと)ならずと(いへど)も、丹崖(たんがい)碧巖(へきがん)(ことごと)(くわ)して白玉堆(はくぎよくたい)()る。(はな)(また)素彩(そさい)(くは)ふ。粉傅何郎(ふんぷからう)(めん)(ごと)く、()()(さら)()す。一俯(いつぷ)一仰(いちぎやう)すれば、()()るもの皚然(がいぜん)たり。(ひと)溪光(けいくわう)(ますます)(あを)く、縹玉(へうぎよく)(いろ)()(のみ)楳溪(ばいけい)(せい)(ここ)(おい)(きは)まる。
 古人(こじん)(うめ)(ろん)ずるに、「(ゆき)三分(さんぶ)(はく)(ゆづ)る」と()ふ。(しか)れども(ゆき)(はく)(もつ)(まさ)り、(うめ)(えん)(もつ)(まさ)る。(おのおの)佳趣(かしゆ)()り。韓退之(かんたいし)雪梅(せつばい)(ゑい)じて(いは)く、「彩艷(さいえん)(あひ)()らず」と。()定論(ていろん)()()(のみ)
 ()(かう)(すで)花月(くわげつ)()(をさ)め、(いま)(また)雪梅(せつばい)(せい)(あは)す。(てん)(われ)(たま)ふこと(なん)(あつ)()()きて前路(ぜんろ)(しよう)()んと(ほつ)し、歩履(ほり)(かた)きを(もつ)(とど)む。


2019年5月2日公開。

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