日本漢文の世界

 

月ヶ瀬梅渓(月瀬記勝)








梅谿遊記三語釈

昏黑(こんこく)

空の色が暗いこと。暗闇。

開謝(かいしや)

花が咲くことと、花がしぼむこと。

虧盈(きえい)

月が欠けることと満ちる(満月になる)こと。

齟齬(そご)

食い違うこと。

(ばう)

満月のとき。旧暦では毎月の15日。

邵康節(せうかうせつ)

邵康節(1011-1077)は、名は雍(よう)、字は堯夫、康節は諡(おくりな)である。北宋時代の学者で、『易経』の研究を行った。

離披(りひ)

花が満開となること。この詩句の意味は、花は満開にならないうちに観賞するのがよい、ということ。

爛漫(らんまん)

花が咲き乱れている様子。

望外(ばうぐわい)

思った以上(によい)。

悵悵(ちやうちやう)

残念で心が晴れない様子。

(しよく)

ともしび。当時の灯火具は「行燈(あんどん)」である。

(かう)

旅行。

()

下男。

(なじ)

問い詰める。

傾覆(けいふく)

くつがえる。ひっくり返る。

悵恨(ちやうこん)

強く恨むこと。ここではひどく残念がる意。

村酒(そんしゆ)

農家が作っているどぶろく。

(さかづき)(あら)

杯を洗うということから、飲酒の意。

醺然(くんぜん)

酒に酔ってよい気持ちになる様子。

海內(かいだい)

全国。

揮灑(きさい)

筆をふるって書画を描くこと。

愁悶(しうもん)

憂えもだえること。「愁惛(しゅうこん)」とも。

小奚(せうけい)

未成年の召使。小僧。

二更(にかう)

午後9時頃。午後7時頃から翌朝の午前5時頃までの10時間を2時間ごとに5等分し、初更•二更•三更•四更•五更のように数えたもの。

清朗(せいらう)

天気がよく晴れていること。

真福寺(しんぷくじ)

治承二年(1178年)に創設された寺。本堂は江戸中期の再建といわれる。境内に梅の木が多くある。

玲瓏(れいろう)

きれいに澄み切った様子。また、梅の別名として用いる。

透徹(とうてつ)

透き通っていること。

橫斜(わうしや)

梅の木の枝やその影が横になったり斜めになったりする様子。

寶鈿(ほうでん)玉釵(ぎよくさい)

宝石をちりばめた立派な髪飾りのことだが、転じて梅の美しい枝ぶりをいう。

錯落(さくらく)

不規則な様子。

鏘然(しやうぜん)

金銀宝石が音を立てる様子。水の流れる音の形容。

人境(じんきやう)

人の住んでいる場所。

月瀨(つきのせ)

ここでは月ヶ瀬全体のことではなく、梅渓十村の一つ月瀬(つきのせ)のこと。

寒玉(かんぎよく)

宝石のことで、清い水を譬える。

銀鱗(ぎんりん)

銀色の魚のうろこ。

兩山(りやうざん)

両岸の山

倒蘸(たうさん)

さかさに水につかること。

隱約(いんやく)

はっきりとしないこと。あるいは、ちらちらと見えること。

(ひと)たび

この「一」は関連副詞で「ひとたび」と訓読する。「一」の後ろに置かれる動詞とともに条件をあらわし、その後ろにくる句が結果を表す。


2019年5月2日公開。

ホーム > 名勝の漢文 > 月ヶ瀬梅渓(月瀬記勝) > 梅渓遊記三語釈

ホーム > 名勝の漢文 > 月ヶ瀬梅渓(月瀬記勝) > 梅渓遊記三語釈