千丈(3,000メートル)の玉すだれ
64歳の老人・呉策書く
海崖
ほかの滝はくねくねと曲がったのが多いが
この滝はまっすぐに落ちている
水もゆたかに数千メートル
天の川から水を注いでいるようだ
旭荘
東側の谷川沿いに上流へ登っていくと、川底が瓦を敷きつめたようになっているところがある。川底はひだ状になっており、大きなひだは階段ほど、小さなひだは衣類のひだのようで、半町(50メートル)ほど続いている。その上を水が流れている。川底のひだのために、緩やかに流れたり、速く流れたりして、なかなか興趣がある。
現在では「雛壇滝」と呼ばれています
また闇淵という淵がある。この淵にも数尺(1メートルほど)の小滝が懸っている。ここに至るまでに名のある淵も多く、着物の裾をたくし上げて左や右に渡らねばならないところも、数えきれないほどある。
闇淵と琴滝
さらに行くと琵琶滝がある。ほかの滝は、ほとばしっているか静かに注いでいるかであるが、この滝だけは真下へざあざあと落ちている。水甕をひっくりかえしたような勢いである。滝の幅は布引滝よりも広く、高さは不動滝ほどもある。しかし、不動滝の勢いは恐ろしいほどで、静かな場所にあるのに対し、この滝はさわやかさがすばらしく、少し広い場所にある。琵琶滝は、不動滝とは、たたずまいは異なるものの、すばらしい眺めであることは変わりない。しかし、谷川の奥深いところにあるため、琵琶滝はひっそりとして人目を引かない。滝にも幸・不幸があるのだろうか。
琵琶滝
琵琶滝の滝壺は狭くて長い。水の色は濃い墨汁のように見える。滝壺は四隅がすべて大きな一枚岩であり、うっかりすると井戸に落ちるように転落してしまう。竜が壺を大きくしたような淵である。石に縄をつけて、滝壺の底へ下ろしてみると、4丈(12メートル)もあったので、みな大いに驚いた。右側の崖の岩は、滝壺の中からそびえ立っており、数仞(10メートルほど)はある。色は濃い青で、岩の裂け目はとてもすばらしい。
琵琶滝を上から見る
この琵琶滝を背にして左側の崖を百歩(100メートル)ほど攀じ登ると、まもなく水際まで降りることができた。
2017年3月26日公開。
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