日本漢文の世界

 

赤目四十八滝(観瀑図誌)







琵琶瀑(びはだき)

観瀑図誌(千丈珠簾) 日本漢文の世界 kambun.jp
千丈(せんぢやう)珠簾(しゆれん)
 六十四(ろくじふし)(をう) 呉策(ごさく)(しよ)

観瀑図誌(琵琶瀑の画) 日本漢文の世界 kambun.jp
海崖(かいがい)

観瀑図誌(琵琶瀑の詩) 日本漢文の世界 kambun.jp
琵琶瀑(びはだき)
諸瀑(しよばく)紆餘(うよ)(おほ)
()(きやう)のみ(ひと)直下(ちよつか)
混混(こんこん)たり數千尋(すうせんじん)
(また)銀河(ぎんが)(そそ)ぐに()たり
   旭莊(きよくさう)

 東澗(とうかん)沿()ひて()けば、澗底(かんてい)(かはら)(ごと)し。(しかう)して逐次(ちくじ)蹙褶(しゆくしふ)す。(だい)なるは階級(かいきふ)(ごと)く、(ほそ)きは襞襀(へきせき)(ごと)(もの)半町(はんちやう)(ばか)り。(みづ)()(うへ)()く。(ひと)たびは(ゆる)やかに(ひと)たびは(はや)く、(きは)めて(おもむ)()り。
 (また)闇潭(くらぶち)なる(もの)()り。(うへ)(また)(なが)れを(かけ)ること數尺(すうしやく)(およ)(たん)()()たる(もの)諸澗(しよかん)(おほ)(これ)()り。()(かか)げて左右(さいう)(わた)(もの)も、(また)(ゆび)(かが)むるに(いとま)あらず。
 (すす)んで琵琶瀑(びはだき)()たり。諸瀑(しよばく)奔激(ほんげき)するに(あら)ずんば(すなは)緩注(くわんちう)す。()(ひと)淙然(そうぜん)として直下(ちよつか)す。(かめ)(くつが)へすの(いきほひ)()り。(はば)曳布(ぬのびき)よりも(ひろ)し。(なが)さは(ほと)んど不動(ふどう)(かう)す。(ただ)不動(ふどう)奮迅(ふんじん)(おそ)()く、()(また)絕幽(ぜついう)なり。(ここ)(すなは)清爽(せいさう)(あい)()し。(きやう)(やや)豁開(くわつかい)にして、狀景(じやうけい)(こと)なりと(いへど)も、()偉觀(ゐくわん)()るや(すなは)(おな)じき(なり)澗奧(かんあう)()るを(もつ)て、()(ひと)寂乎(せきこ)として(きこ)ゆる()し。瀑布(ばくふ)(また)幸不幸(かうふかう)()()
 (たん)(せま)くして(なが)し。(いろ)濃墨(ぢようぼく)(ごと)し。四涯(しがい)(みな)全石(ぜんせき)にして、(たちま)(おちい)ること(せい)(ごと)し。(けだ)(りゆう)(つぼ)(だい)なる(もの)なり。(いし)(つな)(つな)ぎて(こころ)みに(これ)(とう)ずるに、(くだ)ること四丈(しぢやう)有餘(いうよ)(した)()かざる(もの)()し。右崖(うがい)石壁(せきへき)潭中(たんちう)(おこ)り、嶄立(ざんりつ)すること數仞(すうじん)頑青(ぐわんせい)老碧(らうへき)にして、鱗皴(りんしゆん)(こと)()なり。
 (たき)()にして()左崖(さがい)(よづ)ること百步(ひやつぽ)(ばか)り。(すで)にして澗滣(かんしん)(くだ)る。


2017年3月26日公開。

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