日本漢文の世界

 

赤目四十八滝(観瀑図誌)







(すが)(ふぢ)(ふち)

観瀑図誌(古藤挂月) 日本漢文の世界 kambun.jp
古藤(ことう)(つき)()
北渚(ほくしよ)(せい)吳策(ごさく)

観瀑図誌(縋藤潭の画) 日本漢文の世界 kambun.jp
海崖(かいがい)

観瀑図誌(縋藤潭の詩) 日本漢文の世界 kambun.jp
(すが)(ふぢ)(ふち)
(いは)(ふち)險惡(けんあく)(あらそ)
游客(いうかく)(たん)()(さむ)
()きて(みち)(きは)まる(ところ)(いた)れば
(ふぢ)(すが)りて(わづ)かに()ることを()
旭莊(きよくさう)

 (すで)前澗(ぜんかん)諸瀑(しよばく)歷觀(れきくわん)し、(りゆう)(つぼ)()ぎて()くこと(ちやう)(ばか)り。一潭(いつたん)()斧潭(をのぶち)()ふ。兩崖(りやうがい)石壁(せきへき)劃然(くわくぜん)として()(べか)らず。(みち)()左肩(ひだりかた)(もと)む。()頽崖(たいがい)一道(いちだう)のみ()り。(ひろ)(わづ)かに()()る。(しかう)して頑石(ぐわんせき)()滿()つ。(これ)()めば滾轉(こんてん)して他石(たせき)觝激(ていげき)し、(をど)りて(もつ)(みづ)()る。(ひと)たび(つまづ)けば(とど)まる(べか)らざるの(いきほひ)()り。()草樹(さうじゆ)(たす)()()し。(ゆゑ)兩手(りやうて)()()()り、(あし)()()()(もの)(つまび)らかにし、(しか)(のち)(あへ)(のぼ)る。前人(ぜんじん)(いし)(ころ)がさば、(かなら)後人(こうじん)()る。(すで)(のぼ)れば(くだ)らざるを()ず。(しかう)して(また)險絶(けんぜつ)陡崖(とうがい)澗上(かんじやう)峭立(せうりつ)す。()(まへ)(つち)(だん)ずる(こと)(ぢやう)(ばか)り。()りて(あし)()()し。()(みつ)つの小木(せうぼく)()して(はし)()()り。(はし)諦視(ていし)すれば、(なか)()(なか)(きのこ)し、(あし)()むに()へず。(すなは)()()(すが)り、(あし)(はし)()み、(かた)(がけ)()して(もつ)(くだ)る。
 ()(たに)沿()つて()くこと(ちやう)(あま)り。(いち)奇流(きりう)()る。三四十歩(さんしじふほ)(かん)全石(ぜんせき)(そこ)()し、紆余(うよ)して(くだ)る。()(みづ)(あるい)(をど)り、(あるい)()き、(あるい)曲直(きよくちよく)す。(えう)するに三折(さんせつ)(おもむき)()り。()(たん)()つるや、(いし)()りて()(しよう)(くじ)く。(みづ)(すなは)粼涒(りんいん)旋退(せんたい)し、(いきほひ)(をさ)めて(のち)(すす)む。(こと)姿態(したい)()り。()()きは(うら)()し。(たん)(すが)(ふぢ)(しよう)()り。(しばら)(これ)()りて(もつ)(これ)稱揚(しようやう)す。


2017年3月26日公開。

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