龍が壺から少し行くと、斧が淵という淵があります。ここは、両岸が絶壁なので、通ることができません。現在の遊歩道は迂回して岩の上へ登るようになっているのですが、とても急な坂の桟道です。梁洲先生は、この場所を、岩の間をたいへんな苦労をして歩いて通られたのです。
斧淵(おのがぶち)
そこからしばらく行ったところに、「縋藤」(すがりふじ)の淵があります。この「滝」には名前がない、と梁洲先生は書かれていいるのですが、現在の遊歩道には「縋藤滝」の表示があります。しかし、これは梁洲先生が称揚したいと言った、流れの中の小滝ではなく、縋藤の淵の岸壁から染み出ている水滴の流れを「滝」と称したもので、ほとんど水もありません。
現在、縋り藤(すがりふじ)滝とされている流れ。ほとんど水がありません。
梁洲先生が言及された滝とは、縋藤の淵に注ぎ込む三段の小滝です。この小滝について、梁洲先生は、「三折」と表現されていますが、下流から見ると、滝が三段になっているのがよくわかります。この小滝は、ごろごろとした大岩の間をほとばしり、独特な趣があります。『観瀑図誌』では小滝にはほとんど言及がありませんが、この滝については例外的に書かれているのは、梁洲先生がこの小滝の独特な趣に惹かれたからだと思います。
縋り藤(すがりふじ)の小滝
ここから、次の「柿窪滝」に至るまでは、谷川沿いの岩だらけの道が続いています。そこを、ただひたすら歩いて行くのですが、見どころはたくさんあります。まず、最初に出くわすのが陰陽滝です。これは、大きな一枚岩の上を水が滑るように流れている素晴らしい滝で、なぜ観瀑図誌に載っていないのか、不思議なくらいです。
陰陽滝(おんみょうたき)
釜が淵という、おおきな淵を過ぎると、百畳岩という巨大な岩場があります。ここは休憩所になっており、ベンチが設置され、売店もあります(現在は土日祝のみ営業)。弁当を食べるのにちょうどよい場所です。
釜が淵(かまがぶち)
百畳岩(ひゃくじょういわ)
ここには、七色岩という大きな転石(崖が崩れて落ちてきた岩)があります。七色岩の上には、木が生えているので、よほど古い転石なのでしょう。
七色岩(なないろいわ)
ここをすぎると姉妹滝があります。これも観瀑図誌には載っていないのが残念ですが、滝の流れがきれいに二つに分かれており、優雅な姿をしています。
姉妹滝(しまいたき)
こうしてしばらく岩だらけの道を歩いて行くと、いよいよ柿窪滝に到着します。
2017年3月26日公開。
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