そら一杯に雲霧が広がる
宮崎青谷 画
不動滝
大きな響きを立てて地軸が揺れる
すごい勢いで雲の中から飛び出してくる
けわしい崖は塀のように立ち
雪花のような水しぶきが夏風にひるがえる
広瀬旭荘
現在、不動滝の前には橋がかかり、簡単に登れます。
千手滝の左肩の部分を、30~40武(30~40メートル)登ると、不動滝が見える。
不動滝(正面から見たところ)。
水は岩のてっぺんから、激しく噴出している。滝の姿は千変万化して、旗のようになびくかと思えば、剣のように舞い、玉のように踊るかと思えば、雪のようにひるがえる。とても近づくことはできない。
不動滝(上から見たところ)。
滝の音もまた非常に大きく、洞窟を揺るがし、山や谷を動かすようである。崖の上に立って、不動滝を見れば、滝の水が落ちてくるところは、眉よりも高い位置にある。滝の高さは、50尺(15メートル)以上はあるだろう。 すこしずつ近づいてゆくと、水しぶきが雨のように降り注ぎ、衣服はすっかり濡れてしまった。
不動滝の滝つぼは、黒ぐろとしています。
滝つぼは正方形で、四方を崖に囲まれている。滝つぼで泳いでみたが、暗くて底が見えない。
不動滝のまわりの崖。
不動滝の右肩を越えてさらに上流へ行こうと思い、衣服のすそをかかげて滝の下流を渡り、滝のある崖下まで行ってみたが、ごつごつとした岩がたくさんある上に、岩の間には低木がびっしり生えているので、通ることもできないほどである。
不動滝の崖を登り切ると、少し平坦になります。
岩をよじのぼり、かずらを手にとって、かがまりながらやっと登った。そして、体をかがめて下を見れば、黒ぐろとした滝つぼが、真下に見える。杜甫の詩に、「もしも落ちたら、取る事はできない」というのがあるが、まさにこのことだ。下をみれば、正気を失いそうなので、見ないように自分に言い聞かせながら、やっとのことで登りきると、道はだんだん平らかになってきたので、ホッと一息ついた。
2009年3月28日公開。
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