日本漢文の世界

 

赤目四十八滝(観瀑図誌)








赤目瀑前記語釈

名張(なばり)
三重県中西部、上野盆地の南西部にあり、近鉄(近畿日本鉄道)で大阪・名古屋から簡単にアクセスできる。江戸時代は、名張藤堂家の領地で、伊勢参拝の宿場町として栄えた。

三十丈(さんじふぢやう)
一丈は約303センチメートルなので、高さ約90メートルになる。それほど高い山ではない。

蓊蔚(をううつ)
草木がこんもりと茂っている様子。

澗泉(かんせん)
谷あいの湧き水。

役小角(えんのおづぬ)
7世紀後半の人物で、修験道(しゅげんどう)の開祖とされている。日本の名山には、彼にまつわる言い伝えが多くある。

不動明王(ふどうみやうわう)
仏教の五大明王の主尊で、仏法の修行者を守るとされている。

(もく)
名称のこと。

浮屠氏(ふとし)
仏教家。

土人(どじん)
その土地の人。

慣稱(くわんしよう)
習慣として呼んでいる。

佛願(ぶつぐわん)
『観無量寿経』にある阿弥陀仏の願の数。

近人(きんじん)
近所の人たち。

賽瀑(さいばく)
滝まいり。

(きよ)
作者、鎌田梁洲は名(いみな)を政挙(まさこと)と言うが、ここでは中国風に一文字で自分の名前を書いたもの。

泉石(せんせき)(しつ)
山川草木など自然に対する愛着。

天保(てんぽう)辛卯(しんばう)
天保2年(1831年)。辛卯は「かのと・う」です。

萬延(まんえん)庚申(かうしん)
万延元年(1860年)。庚申は「かのえ・さる」。

題篆(だいてん)
表題の揮毫。通常「篆書」という古代の書体で書かれるため「題篆」と言う。

諸彦(しよげん)
多くの立派な方方。

山水(さんすい)(れい)()らば云云
『水経注』の「江水注」にある言葉。山や川に精霊が宿っているならば、悠遠の時代を越えて自分の奇観をよく理解してくれる人が現れたことに驚くに違いない。

知己(ちき)
自分のことをよく理解してくれる人。


2009年3月28日公開。

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