日本漢文の世界


高山彥九郎傳語釈

上野(かうづけ)

旧国名。現在の群馬県にあたる。

(よよ)

代代という意味のときは、「よよ」と訓じる。

俊異(しゆんい)

才能が人並みはずれて優れていること。

(ひと)()

性質、人柄。体つき・顔つきなどをいうこともある。 

白皙(はくせき)

肌の色が白いこと。

精悍(せいかん)

気性がするどくきついこと。

奇節(きせつ)

非凡な節操があること。

(つか)

大きな墓。音は「チヨウ zhŏng」

饘粥(せんしゆく)

かゆ。饘は濃いかゆ。粥は薄いかゆ。

骨立(こつりつ)

やせて骨ばかりになること。

(ぶん)

お上の耳に達すること。

(くわん)

役人。お上。

(あら)はす

表彰すること。

博弈(ばくえき)

ばくち。

健訟(けんしよう)

訴訟ずきなこと。

獄胥(ごくしよ)

監獄の小役人。看守。

江門(かうもん)

江戸のこと。

豊前(ぶぜん)

旧国名。福岡県の東部にあたる。

所在(しよざい)

いたるところ。

(たう)

盗賊。

(おく)

旅立つ人に、はなむけとして物を贈ること。

衷甲(ちうかふ)

わが国では、「くさりかたびら」のこと。(原義は、衣の下によろいをきること。)

板橋(いたばし)(えき)

現在の東京都板橋区。駅は宿場のこと。

(ぐわ)

ここでは、うつぶせに寝ていたと考えられる。

兩尻(りやうしり)云云

うつぶせに寝ているので、尻の部分が飛び出て高くなり、頭の部分がへこんでいる。

無状(むじやう)

無作法である。

蹶起(けつき)

跳ね起きること。

(かつ)

大声でどなりつける声。

辟易(へきえき)

恐れて避けること。

喧嘩(けんくわ)

やかましくさわぐこと。国語の「ケンカ」(言い争いとか殴り合い)の意味ではない。

()

なかま。

劇賊(げきぞく)渠帥(きよすい)

大泥棒の親分。

平昔(へいせき)

かつて。

難當漢(なんたうかん)

やっつけることがむずかしい相手。

(えう)

待ち伏せすること。

(けふ)

追いはぎのこと。

(べう)小丈夫(せうぢやうふ)

背の低い男。(史記の孟嘗君列伝に、趙の人が孟嘗君をあざけった言葉として出ている。)

()

どなりつける。

股栗(こりつ)

恐ろしくて脚がガタガタふるえること。

()

男子の尊称。「貴殿」という意。

刀欛(たうは)

刀の柄(つか)。

喑噁(いんを)

大声でどなる。

(せつ)()

態度を改めること。

殷殷(いんいん)

憂えるさま。

慷慨(かうがい)

いきどおり、なげくこと。

平安(へいあん)

京都のこと。

拜跪(はいき)

ひざまずいて礼拝する。

草莽(さうまう)(しん)

官に仕えず、民間にある臣下。

行路(かうろ)

道行くひとびと。

怪笑(くわいせう)

おおいに笑うこと。

京郊(けいかう)

京都の郊外。

足利(あしかが)高氏(たかうぢ)

足利尊氏(1305-1358)。尊王派の彦九郎にとって、建武の中興を頓挫させ、室町幕府を開いた尊氏は、許しがたい逆賊であった。尊氏の墓は、等持院(京都市北区)にある。

()

罪をかぞえあげて責めること。

權人(けんじん)

権力者。ここでは、老中であった田沼意次(たぬま・おきつぐ、1719-1788)のこと。田沼が実権をもった約20年間は田沼時代と呼ばれ、田沼は積極的な重商主義政策を展開したが、賄賂や汚職が横行した。

中外(ちうぐわい)

政府(ここでは幕府)の内部にいる人と外部にいる人。

愁怨(しうゑん)

うれえ、うらむ。

公上(こうじやう)

将軍のこと。当時は第十代徳川家治。

(ひやく)()らず

全然ご存知ない。百は、打消し語とともに使われ、「全然・・・ない」という意味。

故紙(こし)

使い古しの紙。反故(ほご)。

山廟(さんべう)

ここでは、徳川氏の祖廟である、日光東照宮のこと。

號召(がうせう)

呼び集めること。

豎子(じゆし)

あの小僧。ひと(ここでは田沼意次)を軽蔑していう語。

弊事(へいじ)

よくないこと。ここでは田沼の賄賂政治を指す。

游道(いうだう)

交際の範囲。

公侯(こうこう)

諸侯(大名)のこと。

招致(せうち)

まねいて呼び寄せること。

(いつ)(こう)

寛政の改革を実行しつつあった松平定信(まつだいら・さだのぶ1758-1829)のこと。

澣濯(くわんたく)衣袴褶(いこしふ)穿(うが)

洗いざらしの、衣服やはかまを着ている。身なりが質素であること。

()(おく)

ここでは、食物をすすめること。

長者(ちやうじや)

徳の高い人。

教誨(けうくわい)

おしえさとすこと。

逡巡(しゆんじゆん)

ためらうこと。

闕失(けつしつ)

あやまち。

往年(わうねん)

先年。過ぎ去った年。

囚徒(しうと)

囚人のこと。

風教(ふうけう)

人民を徳によって、それとなく、よい方向へ導く教え。

筑後(ちくご)

旧国名。今の福岡県の南部にあたる。

關吏(くわんり)

関所の役人。

()()

しかりつけて留めること。

(くわん)主人(しゆじん)

久留米藩の儒医、森(宮川)嘉膳。久留米の名士で、久留米を訪れる人は必ず彼を訪ねた。彦九郎の死後、その遺体を庭に仮埋めし、埋葬の官許を得るため東奔西走し、ために家産を傾けても省みなかったという。

(しゆ)

命を絶つこと。

()

役人が来るまで待て、ということ。

(だく)

「わかった。」 承諾のことば。

劇談(げきだん)

はげしい調子で話すこと。

夜分(やぶん)

よなか。

(しよく)

ともしび。ろうそくなどの明かり。

海内(かいだい)

天下。

(かう)(ざい)

「お達者で。」別れに臨んで、無事を祈ることば。

三都(さんと)

京都、江戸、大阪。

慙憤(ざんふん)

恥じ、いきどおる。

(くわ)なり

思い切りがよい。果敢である。

夢寐(むび)

眠って夢を見ている間。

外史(がわいし)()

史伝の最後に挿入する論評を「論賛」という。論賛は「外史氏曰く」とするほか、「野史氏曰く」、「賛に曰く」などの形式で書かれる。

先人(せんじん)

亡父をいう。山陽先生の父・頼春水(1746-1816)のこと。

(きやう)(くわん)

生まれ故郷の戸籍。

元弘帝(げんこうてい)

後醍醐天皇(1288-1339)。後醍醐天皇は年号に「元弘」を選ばれたので、このようにお呼びしている。後醍醐天皇の御代は南北朝で別の元号をもちいていた。南朝の元号である「元弘」を用いることは、尊王の意味をもつ。

伯耆(はうき)

旧国名。鳥取県西部にあたる。

土人(どじん)

その土地に生まれて住んでいる人。

不軌(ふき)

国の法を守らず、叛乱を図ること。

(ゑん)

ぬれぎぬ。

2001年8月5日公開。