日本漢文の世界


養老公園碑語釈

皇帝(くわうてい)

明治天皇のこと。

御極(ぎよきよく)

即位されること。

海內(かいだい)

国内。

寧謐(ねいひつ)

安定しており、静かなこと。

朝野(てうや)

朝廷と民間。官民ということ。

殷富(いんぷ)

富み栄えていること。

百廢(ひやくはい)(ことごと)()

諸問題がすべて解決すること。「挙」は、攻め滅ぼす意。

多藝郡(たきぐん)

現在は大部分が岐阜県養老郡になっている地域。

耆紳(きしん)

老人の有力者。

皇上(くわうじやう)

今上陛下(明治天皇)。

(くわい)

集めること。

(らく)

落成式を行うこと。

(あん)ずるに

文の初めに置き、「そもそも考えてみれば」との意を表す語。

元正(げんしやう)天皇(てんわう)

元正天皇(680-748)は、奈良時代の女性天皇(第44代)で、父は草壁皇子、母は元明天皇。元明天皇の後を受け、第45代聖武天皇が成長されるまでの間在位された(在位期間715-724)。

多度山(たどさん)

養老山の隣にある山だが、元正天皇が行幸された当時には、養老山も含めた山地を多度山と言っていたようだ。元正天皇が沐浴されたとされる菊水泉は、養老山にある。

(みゆき)

天皇・皇族の御外出。「行幸」とも。

美泉(びせん)

養老山にある菊水泉のこととされる。(養老の滝とする説もある。)

美濃(みの)

旧国名。現在の岐阜県南部を中心とする地域。

從臣(じうしん)

おつきの家来。

大伴東人(おほとものあづまひと)

生没年未詳。奈良時代の官吏として、聖武天皇の行幸に従って美濃国へ行った。
このときの歌は次のとおり。
(万葉集1034)
美濃国の多芸の行宮(かりみや)にて大伴宿禰東人の作る歌一首
従古(いにしへゆ) 
人之言来流(ひとのいひける) 
老人之(おいひとの) 
変若云水曾(をつとふみづぞ) 
名爾負瀧之瀬(なにおふたきのせ)

大伴家持(おほとものやかもち)

奈良時代の代表的歌人で万葉集の選者の一人とされている(718?~785)。彼も聖武天皇の美濃国行幸に同行し、歌を残している。
(万葉集1035)
大伴宿禰家持の作る歌一首
田跡河之(たどかはの) 
瀧乎清美香(たきをきよみか) 
従古(いにしへゆ) 
宮仕兼(みやつかへけむ) 
多藝乃野爾上爾(たぎのののへに)

二聖(にせい)

元正天皇と聖武天皇。天皇なので尊んで「聖」という。

萬乗(ばんじよう)

天皇(天子)のこと。

崎嶇(きく)

山道のけわしい様子。

遠遊(ゑんいう)

旅行のこと。

耳目(じもく)(よく)

珍しいものを聞きたい、見たいという気持ち。

靈境(れいきやう)

神秘的で不思議な場所。

勝區(しようく)

名勝。

衆庶(しうしよ)

人民のこと。

歡樂(くわんらく)

楽しみ。

茂林(ぼうりん)

よく茂った林。

蓊葱(をうそう)

あおあおと茂ること。

花卉(くわき)

草花。

點綴(てんてい)

ほどよく連なり、きれいな模様になっていること。

凌厲(りようれい)

勢いのある様子。

秀潤(しうじゆん)

つややかである。

遒逸(しういつ)

力強いこと。

飛泉(ひせん)

ここでは滝(瀑布)のこと。

激越(げきゑつ)

音が激しいこと。

演深(えんしん)

広くて深いこと。

清冽(せいれつ)

水が清らかで冷たいこと。

峰巒(ほうらん)

連なった山山。連山。

重疊(ちようでふ)

幾重にも重なっていること。

翠色(すいしよく)

山の草木の緑いろ。

(きく)()

「掬」は手にすくい取ることで、「掬すべし」とは、手にすくい取ることができるほどたくさんある状態をいう。

(のう)(せい)

美濃(岐阜県)と伊勢(三重県)。

平曠(へいくわう)

平らで、広いこと。

萬頃(ばんけい)

「頃」は広さの単位で、約18アールにあたる。「万頃」は、とても広い様子。

素練(それん)

白い練り絹(練って柔らかくした絹糸で織った布)

林叢(りんそう)

「叢林」とも。林や、藪(やぶ)。

隱現(いんげん)

かくれたり、見えたりする。

鸞輿(らんよ)

天皇陛下の乗り物。

臨幸(りんかう)

天皇陛下がその場所にお出ましになること。

寶暦(ほうれき)

江戸時代の年号。西暦1751年~1763年。

岡本(をかもと)(ぼう)

千歳楼の創始者、岡本喜十郎(1716-1784)。江戸時代享保のころの人で、当時僻地であった養老の開発を志し、千歳楼を建設した。

四方(しはう)

まわりの国国。ここでは、全国のあらゆる地方の意。

過客(くわかく)

旅人。

(とき)(もつ)

時期を違えずに、・・。

棟宇(とうう)

家屋。

朽壞(きうくわい)

腐って壊れること。

柱楹(ちうえい)

はしら。

傾欹(けいき)

傾くこと。

榛蕪(しんぶ)

雑草や雑木が生い茂ること。

靈蹟(れいせき)

二柱の天皇ゆかりの古跡。

(きよ)

多くの人が、お金を出しあうこと。

土木(どぼく)

土木工事。

荒廢(くわうはい)

荒れ果てた家屋等。

橋梁(けうりやう)

橋。「梁」もっこでは橋の意味。

疏通(そつう)

ここでは、川が滞りなく流れるように、浚渫等の作業をすること。

樓臺(ろうだい)

「楼閣」に同じ。高い建物。

梁桷(りやうかく)

梁」も「桷」も屋根を支える木材のこと。

亭榭(ていしや)

あずまや。

欄楯(らんじゆん)

てすり。

洪恩(こうおん)

天皇陛下の大恩。

西京(せいきやう)

京都。

觀瀑記(くわんばくき)

『滝を見るの記』。著者の紀行文の題名。

欝茲(うつじ)

木や草がこんもりと茂っている様子。

美醞(びうん)

うまい酒。

菊水(きくすい)

菊水泉。養老山にある。

宿酲(しゆくてい)

二日酔いのこと。

翠華(すいくわ)

天皇陛下。もとの意味は鳥の羽根で作った皇帝の旗のこと。。

異境(いきやう)

ここでは、秘境の意味。

聖言(せいげん)

天皇陛下のお言葉。

褒揚(ほうやう)

ほめたたえて、世間に知らしめる。

古典(こてん)

古代の書物。ここでは『続日本紀』等をいう。

煥燦(くわんさん)

光り輝いている様子。

孝子(かうし)

孝行息子。酒好きの父親を養う孝子が、養老の滝の水を汲むと、うまい酒になっていたという伝説があり、『十訓抄』等の説話集に見えている。いつのころからか、孝子の名前は「源丞内(げんじょうない)」ということになっている。

稗史(はいし)

民間のことがらを記した説話集。ここでは、『十訓抄』等、孝子の物語を記した本のこと。

名教(めいけう)

名分にかかわる教えということから、人倫の教えのこと。

齊語(せいご)

「斉東野人之語」の略。斉国東部のいなか者のことば。信ずるに足りないでたらめという意味。

歡娯(くわんご)

にぎやかに楽しむこと。

祥靄(しやうあい)

めでたいときに「しるし」として現れる霞(かすみ)。

靈珠(れいしゆ)

不思議で、神秘的な丸い粒。水滴をたとえていう。

偉迹(ゐせき)

すばらしく立派な古跡という意。

貞石(ていせき)

石碑。「貞珉(ていびん)」ともいう。

2014年11月15日公開。