大田南畝(1749-1823)は、江戸時代後期のマルチ文化人であり、漢詩文作者、随筆家、戯作者、狂歌師、狂詩作者等として多彩な活躍をされました。蜀山人という号でも有名です。
大田南畝の業績については、岩波書店から『大田南畝全集』が刊行され、全容がようやく明らかになりました。私はまだほとんど読めておりませんが、質・量ともに圧倒されるばかりです。
この文は、大田南畝のエピソードです。高潔をもって聞こえ、人から慕われ親しまれた南畝先生の人柄がまことによく描写されています。愛すべき下僕の逸助とのおかしなやりとりや、十返舎一九をぎゃふんといわせた話には、おもわず笑いがこみあげてきます。学海先生の才筆も相当のものです。
2002年2月2日公開。