ボート競技は今ではマイナースポーツですが、明治のころは花形スポーツでした。
ボートの流行は明治10年ころから始まり、隅田川にはボートがあふれ、レガッタもたびたび行われるようになりました。レガッタが開催されると、多くのひとたちが見物に訪れ、熱狂的な応援合戦が繰り広げられました。現在でも隅田川では早慶レガッタなどが行われていますが、それらは当時のなごりです。
スポーツの熱狂を文章で表現するのは至難の技です。サッカー場や野球場で熱狂を体験された方は、多分お分かりいただけると思います。しかし、恕軒先生はそれを軽くやってのけています。そのあたりに注目してください。この文章はレガッタの様子を活写した臨場感あふれる名文でありますが、同時に、今となっては知る人も少ない、当時のレガッタの様子を伝える貴重な記録にもなっております。
2003年11月16日公開。