固く道義を守る人。
吳鳳(wú fèng,1699-1769)は字(あざな)を元輝といい、清国の平和(福建省平和県)の人。幼時、父母に随って台湾に来た。温和で読書を好んだ。乾隆年間に阿里山の通詞となり、この文に書かれた事件で命を落とした。
台湾は、オランダを退けた鄭成功が20年ほど支配したあと、1680年前後から清朝の支配下に入った。清国は、台湾を福建省に編入し、台湾府を置いた。清国による支配はきびしく、各地で原住民の叛乱が相継いだ。その後、日清戦争の結果、台湾は1895年にわが国に割譲されたが、1945年の敗戦により、中華民国に返還された。1949年、蒋介石総統の中華民国政府は本土を追われ、台湾を本拠地とした。それ以後台湾は大陸とは独自の発展を遂げている。
阿里山(Ā lĭ shān)は、台湾中部にある、台湾最高峰・玉山の西方にある山山の総称。標高2,000メートルほどの高原地帯で、良質の木材の産地である。スイッチバックで2,000メートルも登ることで有名な阿里山鉄道がある。阿里山の一帯は、ツオウ族が居住する区域である。玉山からの日の出を見るために多くの観光客が訪れる。
公務員。官吏。
義理を重んじて人を助ける気概。
いつくしむこと。
「蕃」とは「えびす」のこと。えびす(ここではツオウ族を指す)の習俗という意。
「首」の字は「くび」と読むが、頸部ではなく頭部のこと。「馘」は首を切ること。
まつりの幣帛(みてぐら)として供えること。「テンす」と読んでもよい。
人の頭部。むかし秦の制度では、人の首を一つ斬るごとに、爵位が一級昇進したことにより、「首級」というようになった。
下の者に命令すること。「さとす」という訓より、少し強いニュアンスがある。
まごころをもって教え諭すこと。
ぐずぐずして進まない形容。
無理に請求すること。
ここでは正午のこと。
あまりの悲しさに、声をあげてワアワア泣くこと。
先祖や先賢烈士を供養するための殿宇。嘉義県中埔郷社口村にある「吳鳳廟」は、嘉慶25年(1820年)の創建である。その後地震で倒壊したりして何度か修復しているという。
ツオウ族のこと。
2002年11月10日公開。