江戸時代の著名な刀工、津田助弘が、いかにして助弘たりえたかを伝える好文章です。
助弘はかつて赤穂義士の一人である小野寺十内の使用人でしたが、主人のなまくら刀がみんなの嘲弄の的になるのを見て、憤懣やるかたなく、みずから日本一の名刀を作ることを志しました。そして
、艱難辛苦の末、ついにそれをなしとげ、主人十内に名刀を贈ることができたのです。助弘の、寝てもさめても主人十内を思って刀作りに精進する姿は感動的です。
この忠義の刀が、義士の討ち入りの際に役立ちました。助弘のような使用人をもちえた十内も、なかなかの人物だったに違いありません。
2001年8月5日公開