日本漢文の世界


乳雀語釈

乳雀(にゆうじやく)

子持ちのすずめ。鳥獣の子を産んだものを「乳」という。

世子(せいし)

あとつぎ。ここでは将軍のあとつぎ。

家光(いへみつ)

第三代将軍、徳川家光(1604-1651)。幼名は竹千代。

(をく)

屋根のこと。

大將軍(だいしやうぐん)

第二代将軍、徳川秀忠(1578-1632)。 

燕室(えんしつ)

「休息する部屋」が原義だが、ここでは御寝所のこと。

(かか)

「かかる」と読むが、「である」くらいの意味。

信綱(のぶつな)

松平信綱(1596-1662)。少時徳川家光の小姓となり、家光の将軍就任後も側近として手腕をふるい、老中に昇進した。また、島原の乱鎮圧でも功績をあげた。

勉強(べんきやう)

困難なことを、しいて成し遂げようとつとめること。

謋然(くわくぜん)

どうと落ちる音。

(こゑ)

おと(音)。

(なじ)

詰問すること。

主使(しゆし)

命じてやらせること。

窮詰(きうきつ)

きびしく詰問すること。

巨嚢(きよなう)

おおきな袋。 

(まう)

白状すること。「自首」の首。

(たん)(てつ)

夜が明けてしまった。

旦日(たんじつ)

あくる日。

(てう)

政務。

(しゆん)

たべのこし。

目送(もくそう)

目を離さないで見送ること。 

孺子(じゆし)

あの小僧。信綱が実際に幼い年齢であることも、ニュアンスとして入っている。

羽翼(うよく)

補佐する。幼いながらに、主人を守り通したあっぱれな根性があれば、成人後もよき臣下として仕えるであろう。秀忠公は信綱をたのもしく思ったのである。 

2001年10月21日公開。