聯合短語は別名を並列短語ともいい、同じ種類の詞や短語を並列させたものです。
まず、名詞を並列した聯合短語を見ていただきましょう。名詞や名詞性詞組を並列する場合は、それらを並べて書けばよいだけです。
【例句1】
夫風雨・霜露・寒暑之変、此疾之所由生也。(蘇軾『教戦守策』)
(訓読)夫れ風雨・霜露・寒暑の変は、此れ疾の由って生ずる所也。
(現代語訳)風雨・霜露・寒暑などの気候の変化は、病気を起こす原因となる。
主語(主部) | 謂語(述部)=主謂短語 | |||||||
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<助詞> | 主語=定中短語(之字短語) | 主語 | 謂語=主謂短語(之字短語) | <助詞> | ||||
[定語]=聯合短語 | 「之」字 | 主詞 | ||||||
<夫> | 風雨 | 霜露 | 寒暑 | 之 | 変、 | 此 | 疾之所由生 | <也>。 |
上の句では、「風雨・霜露・寒暑」の3つの名詞が並列されています。この三つをまとめた聯合短語の後ろに「之」字がついて、名詞「変」を修飾する定語となり、「風雨・霜露・寒暑之変」全体で定中短語の之字短語になっているわけです。 (→定中短語)名詞の聯合短語は、このように他の短語の一部になっていることが多いのです。なお、この句には「之字短語」「所字短語」が含まれています。これらについては後述します。(→之字短語 所字短語)
風雨・霜露・寒暑(聯合短語)
風雨・霜露・寒暑之(定語)→変
風雨・霜露・寒暑之変(定中短語=之字短語)
次は動詞(形容詞を含む)と動詞性の短語が聯合短語を形成している場合を見ていただきます。この場合は、二つの動詞(動詞性短語)を連詞「而」でつなぎます。
【例句2】
匹夫見辱、抜剣而起、挺身而闘。(蘇軾『留公論』)
(訓読)匹夫も辱めらるれば、剣を抜きて起ち、身を挺して闘う。
(現代語訳)身分の低い男でも、辱めを受ければ剣を抜いて立ち向かい、体を張って戦う。
主語(主部)=主謂短語 | 謂語(述部)=聯合短語 | ||||||||
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主語 | 謂語 | 謂語=聯合短語 | 謂語=聯合短語 | ||||||
謂語=動賓短語 | <連詞> | 謂詞 | 謂語=動賓短語 | <連詞> | 謂詞 | ||||
謂詞 | 賓語 | 謂詞 | 賓語 | ||||||
匹夫 | 見辱、 | 抜 | 剣 | <而> | 起、 | 挺 | 身 | <而> | 闘。 |
上の句では、動賓短語「抜剣」と動詞「起」が並列され、また動賓短語「挺身」と動詞「闘」が並列されています。
昔の漢文法教科書では、「抜剣」は動賓短語なので第2句式、「起」は賓語のない動詞なので第1句式だと考え、それらが「而」でつながって形成された謂語は、句式の決まらない「複雑謂語」だとしていました。しかし、そのような面倒な分類をするよりも、聯合短語が謂語となっている第1句式だと考えるほうが実際的です。
2007年7月16日公開。