日本漢文へのいざない

 

第一部 日本文化と漢字・漢文

第五章 読解のための漢文法入門

第4節 特殊な短語




(5)所字短語1

 「者」と似たはたらきをする詞に「所」があります。

 「所」も結構助詞ですが、こちらのほうは前にくる詞ではなく、後ろに来る詞と一体化して名詞性短語になります。

 「所」の場合は、後ろにくる詞は動詞または形容詞と決まっています。「所+動詞(形容詞)」の形になる短語を、「所字短語」と称しています。

 所字短語は、所+動詞・形容詞で、賓語を取らない形が基本形です。

所+忍 → 所忍(がまんすること)

 次の例句では、所字短語が有無句の賓語となっています。これが所字短語が句中で使用される、いちばん基本的な形式です。

【例句1】

彼其有所忍也。(蘇軾『留公論』)

(訓読)(かれ)()(しの)(ところ)()(なり)

(現代語訳)張良は、なんとか我慢することができた。

主語(主部)謂語(述部)=述賓短語
<助詞>謂詞賓語=所字短語<助詞>
 <其> 所忍<也>。



2007年11月11日公開。

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