所字短語は賓語を取ることができます。
まず実例を見ていただきましょう。
【例句1】
所見人物、皆吾画笥也。(蘇軾『石氏画苑記』)
(訓読)見る所の人物は、皆吾が画笥也。
(現代語訳)目に見えた人や物は、すべて私の絵の作品箱の中に入ってしまうのだよ。
「所」は動詞「見」と一体化して、「見る対象」という意味の所字短語になります。
所+見 (みる対象)
この所字短語は、さらに賓語を取ることができます。
所字短語(述賓短語) | |
---|---|
所字短語 | 賓語 |
所見 | 人物 |
「所見+人物」でひとつの大きな所字短語となり、「見る対象としての人物」という意味になります。賓語を取ることができることを見れば、所字短語「所見」は動詞としての性質を保持していることがわかります。「所見人物」も所字短語ですが、同時に述賓短語でもあるわけです。
訓読は次のどちらでも構いません。
(訓読)見る所の人物
(訓読2)所見の人物
(句全体の図解)
主語(主部)=所字短語(述賓短語) | 謂語(述部)=定中短語 | ||||
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所字短語 | 賓語 | [定語] | [定語] | 謂詞 | <助詞> |
所見 | 人物、 | [皆] | [吾] | 画笥 | <也>。 |
2007年11月11日公開。