さて、「者字短語」は名詞性短語ですから、否定する場合には決断副詞「非」を用います。否定副詞「不」を使うことはできません。
【例句1】
此非孟德之困於周郎者乎。(蘇軾『赤壁賦』)
(訓読)此れ孟德の周郎に困しめられし者に非ずや。
(現代語訳)この場所(赤壁)は、曹操(そうそう)が周瑜(しゅうゆ)に苦しめられたところではないか。
主語(主部) | 謂語(述部)=定中短語 | |||
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[定語] | 謂詞=者字短語 | <助詞> | ||
謂詞=主謂短語(之字短語) | 者字 | |||
此 | [非] | 孟德之困於周郎 | 者 | <乎>。 |
この句では「者」字を「ところ」と読みならわしているのですが、これは「者字短語」が場所を表しているからです。者字短語は、このように場合に応じて「もの」「こと」「ところ」などと訓読が変化します。
2007年11月11日公開。