日本漢文へのいざない

 

第一部 日本文化と漢字・漢文

第五章 読解のための漢文法入門

第4節 特殊な短語




(4)者字短語4 者字短語の否定形

 さて、「者字短語」は名詞性短語ですから、否定する場合には決断副詞「非」を用います。否定副詞「不」を使うことはできません。

【例句1】

此非孟德之困於周郎者乎。(蘇軾『赤壁賦』)

(訓読)()孟德(もうとく)周郎(しゆうろう)(くる)しめられし(ところ)(あら)ずや。

(現代語訳)この場所(赤壁)は、曹操(そうそう)が周瑜(しゅうゆ)に苦しめられたところではないか。

主語(主部)謂語(述部)=定中短語
[定語]謂詞=者字短語<助詞>
謂詞=主謂短語(之字短語)者字
[非]孟德之困於周郎<乎>。

 この句では「者」字を「ところ」と読みならわしているのですが、これは「者字短語」が場所を表しているからです。者字短語は、このように場合に応じて「もの」「こと」「ところ」などと訓読が変化します。



2007年11月11日公開。

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