日本漢文へのいざない

 

第一部 日本文化と漢字・漢文

第四章 漢文訓読について




(4)漢文訓読法の特徴

 それでは、いよいよ「漢文訓読」の話に入ります。

 (2)で、「英文訓読」の特徴について見てみましたが、「英文訓読法」は「漢文訓読法」をもとに考え出されたものですから、「漢文訓読」も「英文訓読」と全く同じ特徴をもっております。以下に、「漢文訓読」の特徴を、あらためて列挙してみます。

(a)もとの中国語音(もしくは日本漢字音) での音読はせず、いきなり訓読します。

 「英文訓読」では、下手な発音ながら「音読」をしましたが、漢文訓読では、一切「音読」はせず、最初から訓読(直訳)を行います。

(b)すべての漢字に直訳を付けようとすること。

 漢文訓読では、基本的には原文の全ての漢字に直訳を付けて読もうとするのが特徴です。

(c)訓読は漢語の文法ではなく、日本語の文法によること。

 漢語としての品詞は無視され、日本語の品詞で読まれます。たとえば漢文の助動詞は、訓読では日本語の動詞、副詞、助動詞などに読み分けられています。 

(d)訓(訳語)は一定させること。

 英文訓読でも、 ‘will’ を必ず「あろう」と訳するなど、訳語を一定させて、パタン化を図ろうとする傾向がありました。漢文訓読では、訳語の一定化はさらに徹底されています。 

(e)そのまま日本語の順序に書き下すと直訳体になること。

 漢文を訓読法で書き下した文体は、「漢文訓読体」と呼ばれています。

 次項以下に、それぞれの特徴について詳述します。



2005年3月27日公開。

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