日本漢文へのいざない

 

第一部 日本文化と漢字・漢文

第三章 日本漢字音と字音かなづかい




(4)唐音(とうおん)

 唐音とは、主として江戸時代に伝わった中国音です。

 本居宣長のいわゆる「唐音」は、当時の漢学者が用いていた中国音です。これは長崎の通詞が伝えていたもので、南方の方言音です。前章の荻生徂徠の項に、唐音の実例を載せておきましたから参照してください。

 中国でも時代とともに音韻が変化していますから、「唐音」はもはや昔の韻書に合わなくなっていました。ですから、宣長大人(「大人」は「ウシ」と読んでください)は唐音を「甚だしき謬音(びゅうおん=まちがった音)なり」と決め付けています。そして、当時の漢学者などが、中国音を尊重して「華音」などと称するのを「甚だしきひがこと也」と退けています。



2004年11月3日公開。

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