日本漢文へのいざない

 

第一部 日本文化と漢字・漢文

第三章 日本漢字音と字音かなづかい




(3)漢音(かんおん)

 漢音は、中国北方の中古音を伝えたものです。漢音については、遣唐使の派遣を通じ、常に最新の中国音の受容が行われていました。従って、漢音には古い層から新しい層まで、受容の時期によって層が分かれています。

 現在伝わっている漢音は、平安初期までに伝わって、次第に和化していた音であり、平安中期に受容された最新層の漢音(「新漢音」と呼ばれるもの)は、後世には伝わりませんでした。しかし、文献の上には残っているので、受容の過程が分かります。

 沼本博士の『日本漢字音の歴史』(前掲)152ページから、「新漢音」の例をいくつか拾ってみます。詳しくは、同書を見てください。

 門(漢音「モン」、新漢音「ボン」)、名(漢音「メイ」、新漢音「ベイ」)、白(漢音「ハク」、新漢音「ハイ」)、国(漢音「コク」、新漢音「クヱキ」)、供(漢音「クヰヨウ」、新漢音「クウ」)

 漢音については、金田一春彦博士が声調を推定されています。これについては、前章の(10)で少しだけ触れました。



2004年11月3日公開。

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