ここまで、者字短語と所字短語を見てきましたが、この両方がセットになっていることがよくあります。所~者がセットになって短語を形成するものを、仮に「所者短語」と名づけます。
これは、「所字短語」にさらに「者」がくっついて、「者字短語」となったものです。
【例句1】
所不見者、独鬼神耳。(蘇軾『石氏画苑記』)
(訓読)見ざる所の者は、独り鬼神耳。
(現代語訳)目に見えないものといったら、鬼神くらいのものだ。
所→不見
目に見えない対象
これは「所不見」だけでもよいのですが、「者」をつけると四文字になり、リズムがよいのです。このように虚詞はリズムによって、つけたり取ったりされます。
主語(主部)=所者短語 | 謂語(述部) | ||||
---|---|---|---|---|---|
定中短語 | <助詞> | ||||
[定語] | 謂詞 | ||||
所不見者、 | [独] | 鬼神 | <耳>。 |
【例句2】
蓋公之所能者、天也。(蘇軾『潮州韓文公廟碑』)
(訓読)蓋し公の能くする所の者は、天也。
(現代語訳)思うに、韓文公が為しえたことは、天(に属することがら)であった。
所→能
なしうる対象
公之→所→能
韓文公がなしうる対象
これに「者」がつくと、さらに安定した感じがでます。
公之→所→能⇒者
韓文公がなしうる対象(意味は同じ)
主語(主部)=所者短語 | 謂語(述部) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
<句首助詞> | 主詞=所者短語(之字短語) | 謂詞 | <句末助詞> | |||
<蓋> | 公之所能者、 | 天 | <也>。 |
2007年11月11日公開。