次の例句も主謂短語(ネクサス)が「之字短語」の形で主語となる場合の一種です。
【例句1】
父母之於子、人倫之極也。(蘇轍『古今家誡序』)
(訓読)父母の子に於けるや、人倫の極み也。
(現代語訳)親子の関係こそは、人倫の中で最も大切なものである。
之字短語「父母之於子」は、「父母が子を扱うやりかた」、「父母が子に対する関係」というような意味です。これも一種のネクサス名詞です。
主語(主部)=主謂短語(之字短語) | 謂語(述部) | ||||
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主語 | (之字) | 謂語=述賓短語 | 謂詞=定中短語(之字短語) | <句末助詞> | |
謂詞 | 賓語 | ||||
父母 | 之 | 於 | 子、 | 人倫之極 | <也>。 |
(参考英訳)
父母之於子、 | 人倫之極也。 |
主語 | 謂語 |
父母の子に於けるや | 人倫の極みなり。 |
Parent-child relationship | is the basis for morality. |
之字短語という形ではなく、「之」字のない「父母於子(也)」の形で、同様のネクサスを表すこともあります。
【例句2】
日之与鐘・籥亦遠矣。(蘇軾『日喩』)
(訓読)日の鐘・籥に与るや亦遠し。
(現代語訳)太陽は、鐘や笛とは全然違うものだ。
これは「於」の変わりに「与」の字を使った例です。この場合はふつう、「与」を「おける」と「於」の字と同じように訓読します。(「与」を「~と」と訓読し、「日の鐘・籥と、また遠し」と訓読する人もありますが、私は感心しません。)
主語(主部)=主謂短語(之字短語) | 謂語(述部)=状中短語 | ||||||
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主語 | (之字) | 謂語=述賓短語 | [状語] | 謂詞 | <句末助詞> | ||
謂詞 | 賓語 | ||||||
日 | 之 | 与 | 鐘・籥、 | [亦] | 遠 | <矣>。 |
2007年7月16日公開。