之字短語については、定中短語のところで一通り説明しました。この定中短語としての之字短語で、「之」字の前に主謂短語(ネクサス)がくる場合がよくあります。
【実例】
「余至扶風 之 明年」(蘇軾『喜雨亭記』)
これは、「余(よ)、扶風(ふふう=地名)に至るの明年(みょうねん)」と訓読します。「○○するの××」という言い方は日本語としては変ですが、漢文訓読調として今でも使用されることがあります。
【例句1】
余至扶風之明年、始治舎。(蘇軾『喜雨亭記』)
(訓読)余扶風に至るの明年、始めて舎を治む。
(現代語訳)私が扶風(ふふう=地名)に来た翌年に、はじめて官舎の修理をした。
主語(主部)=定中短語(之字短語) | 謂語(述部)=状中短語 | |||||||
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定語 | 中心詞 | [状語] | 述賓短語 | |||||
主謂短語 | 之字 | 主詞 | 謂詞 | 賓語 | ||||
主語 | 謂詞 | 賓語 | ||||||
余 | 至 | 扶風 | 之 | 明年、 | [始] | 治 | 舎。 |
次は、主謂短語を構成要素とする之字短語(定中短語)が謂語に含まれている例句です。
【例句2】
天下畏皐陶執法之堅。(蘇軾『刑賞忠厚之至論』)
(訓読)天下、皐陶法を執るの堅きを畏る。
(現代語訳)天下の人人は、皐陶(こうよう=人名)が法律の執行を厳正にすることに恐れをなした。
主語(主部) | 謂語(述部)=述賓短語 | |||||
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謂詞 | 賓語=定中短語(之字短語) | |||||
定語 | 中心詞 | |||||
主謂短語 | 之字 | |||||
主語 | 謂詞 | 賓語 | ||||
天下 | 畏 | 皐陶 | 執 | 法 | 之 | 堅。 |
2007年7月16日公開。