次に主謂短語(ネクサス)が謂語(述部)となる主謂謂語句を紹介します。
【例句】
婦人足踏水車、手猶績麻不置。(陸游『入蜀記』6月8日)
(訓読)婦人は足にて水車を踏み、手にて猶お麻を績いで置かず。
(現代語訳)婦人は足で水車を踏みながら、同時に手で麻をつむぎ続けていた。
主語(主部) | 謂語(述部)=聯合短語 | ||||||||
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謂語(述部)=主謂短語 | 謂語(述部)=主謂短語 | ||||||||
主語(主部) | 謂語(述部)=述賓短語 | 主語(主部) | 謂語(述部)=主謂短語 | ||||||
謂詞 | 賓語 | 主語(主部)=述賓短語 | 謂語(述部)=状中短語 | ||||||
[状語] | 謂詞 | 賓語 | [状語] | 謂詞 | |||||
婦人 | 足 | 踏 | 水車、 | 手 | [猶] | 績 | 麻 | [不] | 置。 |
この句では、一つの主語「婦人」に対して、二つの主謂謂語がぶら下がっている「複句」です。二つ目の主謂謂語は、謂語の部分「績麻不置」がこれまた主謂謂語になっています。「難しい」と思われた方もあるかもしれませんが、主謂謂語が階層構造になっているだけです。ひとつひとつの階層を見ると、すべて単純な句になっているのがお分かりだと思います。
このようにして読み解いてゆけば、主謂短語(ネクサス)は決して難しくありません。主謂短語(ネクサス)が理解できれば漢文読解の力は飛躍的に高まります。
2007年7月16日公開。