日本漢文へのいざない

 

第一部 日本文化と漢字・漢文

第五章 読解のための漢文法入門

第3節 主謂短語




(3)主謂謂語句(ネクサス述部)

 次に主謂短語(ネクサス)が謂語(述部)となる主謂謂語句を紹介します。

【例句】

婦人足踏水車、手猶績麻不置。(陸游『入蜀記』6月8日)

(訓読)婦人(ふじん)(あし)にて水車(すいしや)()み、()にて()(あさ)(つむ)いで()かず。

(現代語訳)婦人は足で水車を踏みながら、同時に手で麻をつむぎ続けていた。

主語(主部)謂語(述部)=聯合短語
謂語(述部)=主謂短語謂語(述部)=主謂短語
主語(主部)謂語(述部)=述賓短語主語(主部)謂語(述部)=主謂短語
謂詞賓語主語(主部)=述賓短語謂語(述部)=状中短語
[状語]謂詞賓語[状語]謂詞
婦人水車、[猶][不]置。

 この句では、一つの主語「婦人」に対して、二つの主謂謂語がぶら下がっている「複句」です。二つ目の主謂謂語は、謂語の部分「績麻不置」がこれまた主謂謂語になっています。「難しい」と思われた方もあるかもしれませんが、主謂謂語が階層構造になっているだけです。ひとつひとつの階層を見ると、すべて単純な句になっているのがお分かりだと思います。

 このようにして読み解いてゆけば、主謂短語(ネクサス)は決して難しくありません。主謂短語(ネクサス)が理解できれば漢文読解の力は飛躍的に高まります。



2007年7月16日公開。

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