日本漢文へのいざない

 

第一部 日本文化と漢字・漢文

第五章 読解のための漢文法入門

第2節 詞と短語




(5)短語(phrases)について

 「短語」(phrases)は、複合詞(compounds)よりもさらに詞同士の結びつきが自由な詞組(word groups)です。複合詞は二字のものが多いのに対して、短語は二字のものから非常に長いものまで、いろいろなものがあります。短語は一種の固定表現(formula=慣用語)である複合詞とは異なり、一種の自由表現(free expressions)であるといえます。

【例】

二字の複合詞(慣用語=熟語)  山麓

短語の例(自由表現)      泰山之麓

 上の例では、「やまのふもと」を意味する「山麓」は二字の複合詞ですが、二つ目の「短語」は、「泰山」のふもとであることを、結構助詞「之」(日本語の「の」にあたる語)を使って表現したものです。

 「短語」が自由表現(free expressions)だというのは、「泰山之麓」は、「富士山之麓」、「処女峰之麓」などと自由に書き換えることが可能なことからも分かります。

 この「短語」は「複合詞」以上に重要です。「短語」が理解できれば、漢文は読めるといっても過言ではありません。

 「短語」の成り立ちも、複合詞の場合と同じように、junction(組合式)とnexus(連系式)の二つがあります。

 junctionの短語
  (a)定中短語
  (b)状中短語
  (c)述賓短語
  (d)双賓短語
  (e)聯合短語

 Nexusの短語
  主謂短語

 以下、これらを順番に解説します。



2007年7月16日公開。

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