実際に漢文を読んでみると、主語のない句(sentence)のほうが主語のある句よりも多いことに気づかれると思います。
だとすると、漢文の句は「主語」と「謂語」から成るという説明は不十分だということになります。実は、基本3句式には、それぞれ主語のない形式が存在するのです。主語のない形式を「無主句」と呼びます。
「無主句」は、「主語」がないので、「謂語」のみの句です。しかし、主語が省略されているわけではなく、主語はもともと無いのです。
【例句1】
嗚呼!哀哉!
(訓読)嗚呼!哀しい哉!
謂語 |
嗚呼! |
謂語 |
哀哉! |
現代語訳は必要ないと思います。詠嘆の言葉には主語がありません。これは容易に理解していただけると思います。かつて、このような詠嘆の語も句(sentence)と見てよいのかという言語学上の議論があったようですが、今ではこれらも句であるとされています。
【例句2】
然!
(訓読)然り!
謂語 |
然! |
「否!(いな)」も同様。
謂語 |
否! |
このような応答の形式が無主句になるのは、多くの言語に共通することです。
2007年7月16日公開。