日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



山岡高歩(鉄舟) 七言対句
やまおか・たかゆき(てっしゅう)


1836-1888。幕臣。のち明治天皇の侍従となる。

山岡鉄舟 七言対句 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

幅巾藜杖聊三径
明月清風自一丘
(七言対句)
鉄舟 高歩

[訓読]

幅巾(ふっきん)藜杖(れいじょう)三径(さんけい)(りょう)し、
明月(めいげつ)清風(せいふう)一丘(いっきゅう)()りす

[語釈]

幅巾(ふっきん)
 「幅巾」隠者が被る頭巾。バンダナのようなもの。

藜杖(れいじょう)
 あかざで作った杖。軽いので老人が用いる。

(りょう)
 ここでは、聊浪、すなわちぶらぶらすること。

三径(さんけい)
 隠者の居所。古代中国・漢の時代の隠者・蒋詡の家に三つの小路(径)があったことから。陶淵明の『帰去来辞』にある表現。

明月(めいげつ)清風(せいふう)
 「明月清風を払い、清風明月を払う」のように、対比して秋の清々しさを表現する語。略して「風月」ともいう。

一丘(いっきゅう)
 ひとつの丘

[訳]

頭巾をかぶり、杖をついて、ぶらぶらと散歩する。
明るい月が丘の上に昇ってきたが、その丘のほうから清々しい風が吹いてきた。
     鉄舟・山岡高歩

2009年3月28日公開。

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