日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



竹村健吉(子雀) 五言絶句
たけむら・けんきち(しじゃく)
著作権継承調査中


1898-1975。龍跳書道会創立者。

竹村健吉 五言絶句 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

年頭臨晋帖
迎得好鵝賓(韻)
瓶裡寒梅咲
筆端絶俗塵(韻)
(五言絶句。平声真韻)
 子雀老人書

[訓読]

年頭(ねんとう)晋帖(しんちょう)(のぞ)めば
(むか)()たり好鵝賓(こうがひん)
瓶裡(へいり)寒梅(かんばい)()
筆端(ひったん)俗塵(ぞくじん)()
 子雀(しじゃく)老人(ろうじん)(しょ)

[語釈]

晋帖(しんちょう)
 中国の晋の時代の名筆の法帖。晋の名筆といえば王羲之(官名で「王右軍」とも呼ばれます)のことと決まっています。

(のぞ)
 ここでは臨書すること。

好鵝賓(こうがひん)
 仙人のような浮世ばなれした客。李白の『王右軍』詩に「山陰過羽客、愛此好鵝賓。」とあるのに基づいています。

瓶裡(へいり)
 花瓶の中。

筆端(ひったん)
 筆のはこび。

[訳]

年頭にあたり王羲之の法帖(ほうじょう)を臨書していると、
風流なお客が訪れる。
花瓶には寒梅を活けて、
筆のはこびは、まさに脱俗の趣がある。
   子雀老人書く

2009年12月6日公開。

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