日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



三條実美 五言絶句
さんじょう・さねとみ


1837-1891。明治維新に公卿の立場で活躍し、維新後右大臣。太政大臣等を歴任。公爵。

三條実美 五言絶句 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

微寒共被眠
滂沛夜來雨(韻)
白屋下踈簾
草虫啼在戸(韻)
(五言絶句。上声麌韻)
 三條 実美

[訓読]

微寒(びかん)(ふすま)(とも)にして(ねむ)
滂沛(ほうはい)たり夜來(やらい)(あめ)
白屋(はくおく)踈簾(それん)(おろ)
草虫(そうちゅう)()きて()()
 三條(さんじょう) 実美(さねとみ)

[語釈]

微寒(びかん)
 薄ら寒い気候。
(ふすま)
 かけぶとん。
滂沛(ほうはい)
 雨がさかんに降る様子。
夜來(やらい)
 前の晩から続いていること。
白屋(はくおく)
 かや葺きの粗末な家。
踈簾(それん)
 目の粗いすだれ。
草虫(そうちゅう)
 草むらでなく虫。
()()
 戸口にいること。

[訳]

ちょっと寒いので布団を分け合って眠った。
昨夜から雨がざあざあ降っている。
茅葺きの小さな家で簾を下ろすと、
戸口で虫が鳴いている。
  三条 実美

2010年5月1日公開。2010年5月6日修正。

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