日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



坂本俊篤(渓堂) 七言絶句
さかもと・としあつ(けいどう)


1858-1941。海軍中将。貴族院議員。

坂本俊篤 七言絶句 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

峨艦如山蔽海雄(韻)
将軍檣上日章紅(韻)
万乗天子観兵処
爽気秋清錦旆風(韻)
(七言絶句。平声東韻)
 録陪観艦式詩 渓堂

[訓読]

峨艦(がかん)(やま)(ごと)し、(うみ)(おお)うの(ゆう)
将軍(しょうぐん)檣上(しょうじょう)日章(にっしょう)(くれない)なり
万乗(ばんじょう)天子(てんし)観兵(かんぺい)(ところ)
爽気(そうき)(あき)(きよ)錦旆(きんぱい)(かぜ)
 観艦式(かんかんしき)(ばい)するの()(ろく)す 渓堂(けいどう)

[語釈]

峨艦(がかん)
 戦艦のいかめしい姿を山にたとえたもの。「峨」とは山がけわしいこと。

(うみ)(おお)うの(ゆう)
 観艦式なので、戦艦がたくさんあり、更に山のように見える。「雄」は英雄の意。

檣上(しょうじょう)
 マストの上。

日章(にっしょう)
 旭日旗。

錦旆(きんぱい)
 にしきの御旗。

[訳]

海をおおうほど沢山の軍艦は、いかめしい山のような雄姿を見せている。
将軍のマストには、日章旗がひるがえる。
陛下が観艦式にお臨みあそばすところでは、
秋のさわやかな風が吹き渡り、錦の御旗が揺れている。
  観艦式に陪席したときの詩 渓堂

2009年10月12日公開。

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