日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



酒井忠正 五言絶句
さかい・ただまさ
著作権継承調査中


1893-1971。旧姫路藩主酒井家の養子。貴族院副議長。

酒井忠正 五言絶句 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

鋤禾日当午(韻)
汗滴禾下土(韻)
誰知盤中飱
粒粒皆辛苦(韻)
(五言絶句。上声麌韻)
   忠正書

[訓読]

(くわ)()いて、()()()たる
(あせ)(したた)たる禾下(かか)(つち)
(たれ)()らん盤中(ばんちゅう)(そん)
粒粒(りゅうりゅう)(みな)辛苦(しんく)なるを
    忠正(ただまさ)(しょ)

[語釈]

(くわ)
 稲のこと。
()
 田をたがやして、稲を育てること。
盤中(ばんちゅう)
 「盤」は食物を盛る皿のこと。
(そん)
 食事。とくに夕食のこと。

[訳]

田を耕していると、太陽が南中する。
汗は稲の下にぽたぽたと滴り落ちる。
いったい誰が気づいているだろうか。皿に盛られた食物は、
ひとつぶひとつぶが、農民の辛苦であることを。
             忠正 書く

[出典]

唐代の詩人・李紳の『憫農』詩

2010年5月1日公開。

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