日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



斎藤隆夫(天城) 七言対句(明詩)
さいとう・たかお(てんじょう)


1870-1949。衆議院議員。反軍演説を行ったことにより議会を除名さる。

斎藤隆夫 七言対句 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

鳥雀不知郊野好
穿花翻恋小庭中
(七言対句)
 昭和乙亥初夏 天城 隆

[訓読]

鳥雀(ちょうじゃく)()らず郊野(こうや)()きを
(はな)穿(うが)(ひるがえ)って()小庭(しょうてい)(うち)
 昭和(しょうわ)乙亥(いつがい)初夏(しょか) 天城(てんじょう) (りゅう)

[語釈]

鳥雀(ちょうじゃく)
 小鳥。

郊野(こうや)
 郊外の広い野原。

(はな)穿(うが)
 花の間を通り抜ける。

昭和(しょうわ)乙亥(いつがい)
 「乙亥」は「きのと・い」の年。昭和10年。

[訳]

小鳥たちは、郊外の野原のよさを知らない。
我が家の小さな庭の中で花に戯れている。
   昭和10年初夏 天城・隆夫

[出典]

明末・清初の詩人・高珩(こうこう)の『春日雑詠』詩の転結。

2009年12月6日公開。

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