大鳥圭介(如楓) 七言絶句
おおとり・けいすけ(じょふう)
1832-1911。外交官として日清戦争時に活躍。枢密院顧問。
[解読]
雲鎖山邨翠色催(韻)
田田水漲翠秧堆(韻)
鳴蛙繞屋声如沸
一陣軽風吹雨来(韻)
(七言絶句。平声灰韻)
夏日田家暮 如楓散人
[訓読]
雲は鎖ざす山邨翠色催し
田田に水漲り翠秧堆し
鳴蛙屋を繞りて声沸くが如し
一陣の軽風雨を吹いて来る
夏日田家の暮 如楓散人
[語釈]
山邨
山村に同じ。
翠色
きれいな緑色。
翠秧
稲の苗。
軽風
そよ風。
田家
いなかの家。
[訳]
雲に覆われていた山村は、晴れるにつれて緑色に照り輝こうとしている。
田んぼという田んぼには、水が漲り、稲の苗がうずたかく積まれて田植えを待っている。
家の周りで鳴く蛙の声は、まるで沸きあがるようだ。
一陣のそよ風が、雨を吹きあげる。
夏の田舎の家での夕暮れ 如楓散人
2009年10月12日公開。2009年10月14日修正。