日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



小野 長愿(湖山) 七言絶句
おの・ちょうげん(こざん)


1814-1910。江戸後期から明治期に活躍した漢詩人。

小野湖山 七言絶句 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

朝昏灌漑手親為(韻)
摂養之方是最宜(韻)
園可誇人有何物
緑陰繁茂緑苔滋(韻)
(七言絶句。平声支韻)
 消夏絶句 湖山七十七叟

[訓読]

朝昏(ちょうこん)灌漑(かんがい)()(みずか)()
摂養(せつよう)(ほう)()(もっと)(よろ)
(えん)(ひと)(ほこ)()きは何物(なにもの)()
緑陰(りょくいん)繁茂(はんも)緑苔(りょくたい)(しげ)
 消夏(しょうか)絶句(ぜっく) 湖山(こざん)七十七叟(しちじゅうしちそう)

[語釈]

朝昏(ちょうこん)
 朝と夕方。
灌漑(かんがい)
 植物に水やりをすること。
摂養(せつよう)
 まもり育てること。
(ほう)
  方法。
(えん)
  隠居所。
緑陰(りょくいん)
 木の生い茂った木陰。
繁茂(はんも)
 盛んに生い茂ること。
緑苔(りょくたい)
 緑色のこけ。
消夏(しょうか)
 夏の暑さをしのぐこと。

[訳]

庭の草木への朝夕の水やりは、自分の手でしている。
これが草木を育てるには、一番の方法なのだ。
質素な隠居所で人に誇るべきものといえば、
生い茂った木と緑色のこけがむした庭であろうか。
  夏の暑さをしのぐ(絶句) 七十七歳の翁・湖山

2010年5月1日公開。2010年5月6日修正。

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