大西正幹(鳴川) 七言絶句
おおにし・せいかん(めいせん)
1879-1951。弁護士。衆議院議員。
[解読]
秋入東溟万里波(韻)
登楼対月感如何(韻)
飛鴻応有過南海
為我遥伝郷思多(韻)
(七言絶句。平声歌韻)
房州白浜対月有感
為畠中喜之治君 鳴川漁史
[訓読]
秋は入る東溟万里の波
楼に登り月に対す、感ずること如何
飛鴻応に南海を過る有らん
我が為に遥かに伝えよ、郷思多しと
房州白浜にて月に対して感有り
畠中喜之治君の為に 鳴川漁史
[語釈]
東溟
東方の海。
楼
楼閣。高い建物。
飛鴻
大きな鳥。白鳥などのこと。
南海
南方の海。
郷思
故郷を思う心。
房州
千葉県。
漁史
「漁史」は雅号の後ろにつける辞。
[訳]
東の海の万里に渡る波の中にも、秋はやってきた。
楼閣に登り、月を仰げば、感慨もひとしおだ。
南の海を通り過ぎる大鳥よ、
「帰りたい」と、遠いふるさとの人たちに伝えておくれ。
千葉県白浜にて月見をしての感慨。
畠中喜之治君へ。鳴川漁史。
2009年9月6日公開。2009年9月10日修正。