日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



荻洲立兵 七言絶句
おぎす・りっぺい


1884-1949。ノモンハン事件の際の第六軍司令官。

荻洲立兵 七言絶句 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

無主山河柳色新(韻)
鎮城総是作灰塵(韻)
長期抗戦胡為者
唯有皇軍救万民(韻)
(七言絶句。平声真韻)
 中支陣営作 中将 荻洲 題

[訓読]

(しゅ)()山河(さんが)柳色(りゅうしょく)(あら)たなり
鎮城(ちんじょう)(すべ)()灰塵(かいじん)()
長期(ちょうき)抗戦(こうせん)胡為(なんす)(もの)
()皇軍(こうぐん)万民(ばんみん)(すく)()るのみ
 中支(ちゅうし)陣営(じんえい)(さく) 中将(ちゅうじょう) 荻洲(おぎす) (だい)

[語釈]

(しゅ)()山河(さんが)
 当時満洲は、領有国のない「無主地」とされていた。

鎮城(さじょう)
 「鎮城」は要塞。ちなみに「城鎮」とすれば町のこと。

灰塵(かいじん)
 「灰燼」と同じで、滅びてしまった跡。

長期(ちょうき)抗戦(こうせん)
 日中戦争のことか。

[訳]

無主の地・満洲では、柳の新芽が美しい季節となった。
要塞は、すべて焼き尽くされて灰となった。
長期の抗戦を余儀なくされるのは、いったいなぜなのか。
天皇陛下の軍隊によって万民が救われる以外には、解決の道はない。
   中国中部地域の軍営にて。中将の荻洲が作った。

2009年12月6日公開。2009年12月8日修正。

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