日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



三土 忠造(智山) 五言古詩
みつち・ちゅうぞう(ちざん)


1871-1948。枢密院顧問。幣原内閣内相等。

三土 忠造 五言古詩 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

本来無一物(韻)
亦無塵可払(韻)
若能了達此
不用坐兀兀(韻)
(五言古詩。入声物韻・月韻通韻)
   智山

[訓読]

本来(ほんらい)無一物(むいちもつ)
()(ちり)(はら)()()
()()(ここ)了達(りょうだつ)すれば
(もち)いず()して兀兀(ごつごつ)たるを
   智山(ちざん)

[語釈]

無一物(むいちもつ)
 何も持っていないこと。
(ちり)(はら)
 「偉い人のお髭の塵を払う」ということで、出世のために、上役におべっかを使うこと。
了達(りょうだつ)
 心に悟ること。
()して
 なすべきすべもなく。
兀兀(ごつごつ)
 絶えず努力する様子。

[訳]

我々は、もともと何も持たないのである。
だから、世間的成功のために、みっともない行いをする必要はない。
このことが胸に収まれば、
世間の波にもまれて、あくせく努力することが、ばからしくなってくる。
    智山

2010年5月1日公開。

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