日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



北村沢吉(闇然) 碑銘
きたむら・さわきち(あんぜん)


1874-1945。漢学者。広島文理大学教授。

北村沢吉 碑銘 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

前者既僵、後者随起。為国殞身、嗟八十士。
甲戌二月 録海南義烈碑銘 闇然

[訓読]

前者(ぜんしゃ)(すで)(たお)れ、後者(こうしゃ)(したが)って()つ。(くに)(ため)()(ころ)す、(ああ)八十士(はちじっし)
甲戌(こうじゅつ)二月(にがつ) 海南(かいなん)義烈(ぎれつ)()(めい)(ろく)す 闇然(あんぜん)

[語釈]

八十士(はちじっし)
 幕末に勤皇に励んだ土佐藩士たち八十人。坂本竜馬、中岡慎太郎等が代表的人物。

海南(かいなん)
 土佐のこと。

義烈(ぎれつ)
 正義心が強いこと。ここでは勤皇の心が強いこと。

甲戌(こうじゅつ)
 「きのえ・いぬ」の年。昭和9年。

[訳]

前を行く者は殺されても、後を追う者はかえって奮い立った。国のためには身を捨てて惜しむことがなかった。ああ、土佐勤皇の八十人の藩士たちよ!
    昭和9年2月 海南義烈碑の銘文を記した。闇然。

2009年9月6日公開。

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