茅原廉太郎(華山) 七言絶句
かやはら・れんたろう(かざん)
1870-1952。評論家。民本主義を提唱。
[解読]
為客偏驚大気乾(韻)
絶無風雨及春闌(韻)
沁人詩骨夜如水
也怕万桜花更寒(韻)
(七言絶句。平声寒韻)
南満洲星浦客楼夜吟 華山逸民 廉
[訓読]
客と為り、偏に驚く、大気の乾くを
絶えて風雨無く、春闌に及ぶ
人の詩骨に沁みて、夜は水の如し
也た怕る、万桜の花、更に寒きを
南満洲星浦客楼夜吟 華山逸民 廉
[語釈]
詩骨
詩の風骨(作風と精神)。詩風。
星浦客楼
大連郊外にあった「星の浦ヤマトホテル」。
逸民
隠者。
[訳]
ここへ旅してきて空気が乾いているのには驚くばかりだ。
全く雨も風もないままに、春もたけなわとなった。
春は私の詩風にも染み入り、夜は水のように深くなる。
夜がこうも寒くなると、あのたくさんの桜の花は大丈夫かと思いやられる。
南満洲の星の浦ヤマトホテルにて夜中に吟ずる
華山逸民 廉太郎
2009年10月12日公開。2009年10月14日修正。