亀井貫一郎 感想文
かめい・かんいちろう
著作権継承調査中
1892-1987。評論家。海外事業研究会を主宰。
[解読]
山横朔北
風捲太洋
傷心国家人民事
昭和十八年四月
亀井貫一郎書
[訓読]
山は朔北に横たわり
風は太洋を捲く
心を国家・人民の事に傷ましむ
昭和十八年四月
亀井貫一郎書
[語釈]
山
日中・日米開戦にいたる、国難を「山」にたとえた。
朔北
北方のこと。ここでは満洲・中国の意。
太洋
太平洋のこと。
捲く
うずのように巻き上げる。「太洋を捲く」とは、日米戦争に発展したこと。
[訳]
北方の満洲には山のような国難が横たわり、
太平洋の水を巻き上げてかき乱すような風が吹いている。
国家のこと、人民のことを思えば、心が痛む。
昭和18年4月
亀井貫一郎書
2009年12月6日公開。2009年12月8日修正。