日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



板野友造 論語
いたの・ともぞう


1874-1945。弁護士。衆議院議員。

板野友造 論語 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

巧言令色鮮矣仁
剛毅木訥近矣仁
 後学 板野友造 敬識

[訓読]

巧言(こうげん)令色(れいしょく)(すく)なし(じん)
剛毅(ごうき)木訥(ぼくとつ)は、(じん)(ちか)し。
 後学(こうがく) 板野(いたの)友造(ともぞう) (つつ)しんで(しる)

[語釈]

巧言(こうげん)
 巧妙な言葉。

令色(れいしょく)
 たくみな顔色。

(じん)
 思いやりの心をもって共生しようとすること。

剛毅(ごうき)
 無欲で果敢なこと。

木訥(ぼくとつ)
 朴訥に同じ。質朴で遅鈍なこと。

後学(こうがく)
 「後進の学者」との意で、謙遜の辞。

(じん)(ちか)
『論語』の原文では、「近仁」とあるのを、字数を揃えるために「近矣仁」としているが、文法的誤りを犯している。「近乎仁」もしくは「近於仁」とすべきところ。

[訳]

巧みな言葉や顔色には、共に生きてゆこうとする思いやりの心はない。
無欲で勇敢、質朴であることは、思いやりの心そのものではないが、それに近いものである。
     後学 板野友造 謹んで記す。

[出典]

巧言令色鮮矣仁 → 『論語』学而篇、陽貨篇
剛毅木訥近仁   → 『論語』子路篇

2009年12月6日公開。2009年12月8日修正。

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