犬養毅(木堂) 五言絶句(唐詩)
いぬかい・つよし(ぼくどう)
1855-1932。国民党総裁。首相。5・15事件に倒る。
[解読]
乾坤有精物
至宝無文章(韻)
雕琢為世器
真性一朝傷(韻)
(五言絶句。平声陽韻)
木堂
[訓読]
乾坤精物有り
至宝にして文章無し
雕琢して世器と為す
真性一朝の傷
木堂
[語釈]
乾坤
天と地。
精物
宝玉のこと。
至宝
もっとも貴重であること。
文章
模様。
雕琢
模様を彫りつけ、磨くこと。
世器
世にすぐれた器物。
一朝
いっとき。
[訳]
天地の間には、すばらしい宝玉がある。
その宝玉は最も貴重で、模様はついていない。
模様を彫り付けて世にすぐれた物にしようとしても、
それはまことに一時に宝玉を傷物にしてしまうのだ。
木堂
[出典]
唐代の詩人・韋応物の『詠玉』詩
2009年3月28日公開。2009年6月17日・18日一部修正。