日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



本郷房太郎(栗洲) 七言絶句
ほんごう・ふさたろう(りっしゅう)


1860-1931。陸軍大将。大日本武徳会長。

本郷房太郎 七言絶句 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

大詔煥然日月懸(韻)
五千万衆気衝天(韻)
乾坤欲擲誰争武
一戦振威何処辺(韻)
(七言絶句。平声先韻)
   栗洲老人書

[訓読]

大詔(たいしょう)煥然(かんぜん)たり日月(じつげつ)()
五千(ごせん)万衆(まんしゅう)()(てん)()
乾坤(けんこん)(なげう)うたんと(ほっ)す、(たれ)()(あらそ)
一戦(いっせん)()(ふる)うは何処(いずこ)(へん)
   栗洲(りっしゅう)老人(ろうじん)(しょ)

[語釈]

大詔(たいしょう)
 天皇陛下の御言葉。作者は昭和6年に亡くなっているので、この詩は日中・日米戦争でななく、日露戦争のことを詠んだものと思われる。

煥然(かんぜん)
 光り輝く様子。

乾坤(けんこん)
 天地。「乾坤一擲」は、運命をかけた大勝負。

[訳]

開戦のみことのりは、まるで太陽や月のように光り輝いた。
五千万の国民は意気天をつく思いとなった。
国運を賭した大勝負である。誰がわが国と敵し得ようか。
わが軍の勢いを示す初戦は、どこで行われるのであろうか。
     栗洲老人書く。

2009年12月6日公開。

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