日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



林銑十郎(静軒) 四言古詩
はやし・せんじゅうろう(せいけん)


1876-1943。陸軍大将。内閣総理大臣。

林銑十郎 四言古詩 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

忠言致益
豈譲膏粱(韻)
六藝為楽
寧後笙簧(韻)
(四言古詩。平声陽韻)
    静軒

[訓読]

忠言(ちゅうげん)をもって(えき)(いた)
()膏粱(こうりょう)(ゆず)らんや
六藝(りくげい)をもって(たの)しみと()
(むし)笙簧(しょうこう)(おく)れんや
    静軒(せいけん)

[語釈]

膏粱(こうりょう)
 身分の高い、裕福な人。(もとの意味は「ごちそう」のこと。)
六藝(りくげい)
 君子のたしなみである六つの技芸。礼・楽・射・御・書・数。教養のこと。
笙簧(しょうこう)
 ここでは音楽家の意。(もとの意味は笙の笛の舌のこと。)

[訳]

忠言によって社会の利益になることは、
富貴な人にも劣ることはない。
教養や技芸を楽しみとすることは、
音楽家にも後れを取らないほどだ。
   静軒

2010年5月1日公開。2010年5月6日修正。

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