日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



長炗(三洲) 七言絶句
ちょう・ひかる(さんしゅう)


1833-1895。漢学者、書家。東宮侍読。

長三洲 七言絶句 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

開戸唯驚玉作林(韻)
屋頭初日散棲禽(韻)
梅花昨夜発多少
雪満渓山何処尋(韻)
(七言絶句。平声侵韻)
    三洲居士

[訓読]

()(ひら)けば()(おどろ)(たま)(はやし)()るに
屋頭(おくとう)初日(しょじつ)棲禽(せいきん)(さん)
梅花(ばいか)昨夜(さくや)(ひら)くこと多少(たしょう)
(ゆき)渓山(けいざん)()何処(いずく)にか(たず)ねん
    三洲(さんしゅう)居士(こじ)

[語釈]

(たま)
 雪の白さをたとえたもの。

(はやし)
 たくさんあることをたとえたもの。

屋頭(おくとう)
 家のそば。

初日(しょじつ)
 東の空に昇ったばかりの太陽。

棲禽(せいきん)
 ねぐらにいる鳥。

渓山(けいざん)
 谷や山。

[訳]

戸を開けてみれば、一面の銀世界となっているのには驚くばかりだ。
家のそばでは、夜明けの日の光にねぐらの鳥たちも飛び立った。
梅の花は昨夜どれほど咲いたのだろうか。
谷も山も一面の雪で尋ね見ることもできない。
             三洲居士

2009年3月28日公開。2009年6月17日一部修正。

ホーム >英傑の遺墨が語る日本の近代 > 作品リスト > 長三洲

ホーム >英傑の遺墨が語る日本の近代 > 作品リスト > 長三洲